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◎再生同期パルス
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実はPCのサウンドカードはサンプリング周波数が相当ズレている場合があります。例えばサウンドカードのサンプリング周波数に標準の11025Hzを指定した場合、実際の物理サンプリング周波数は11100Hz近辺になっている場合があります(送信時と受信時で異なる場合が多い)。この場合のズレ量は約6800ppmにもなり、すべてのDSP処理はこのサンプリング周波数を基準に行われるために、取り扱うすべての周波数やタイミングにこのズレ量が同じ比率で影響し、主として次の問題点が発生します。
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・キャリア周波数のズレ
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・伝送速度(符号タイミング/周波数偏移)のズレ
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キャリア周波数に関しては、例えば2000Hzが2014Hzになる程度で、運用上少し不便ですが、大きな問題ではありません。GMSKの場合の周波数偏移も変化しますが、伝送速度(=位相変化速度)が同じ比率で変化するため送信側では必ずGMSKになります。
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しかし問題となるのは伝送速度のズレのほうです。VARICODEは文字と文字の間に必ずGAPが存在しますので、ここで同期パルスの位相を調整すればRTTYのような調歩同期式符号として扱うことができます。しかし最大で21Bitsもの符号を伝送するような符号方式では、大きなクロックずれは符号の後半部で同期が外れてしまいS/Nに関係なく誤りが発生してしまいます。
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つまり再生同期パルスは位相の調整だけでは不十分で、その周波数(周期)も調整する必要があります。しかし受信信号のタイミングがすぐに再生同期パルスの周波数に影響を与えるような方式ではQSBなどの外乱で簡単に乱れてしまい良くありません。そこで高速に応答できる範囲を1000ppm程度とし、ある程度の時間をかければ25000ppm程度のズレでも補正できるような同期パルスの再生方法が必要になります。
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以下に今回採用した再生同期パルスの生成回路を示します。
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受信パルス --> 位相比較 --> LPF1 -------------------> SYNC status
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| -----> LPF2-------
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-------------- 移相器 <----- VCO <--
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--------- π/4 shift --------------> 再生同期パルス
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この方式では2つのループがあるので、少し複雑な動作になりますが、動作としては小さなズレは移相器で(高速で)補正し、大きなズレはVCO周波数を可変して(低速で)補正するようなイメージになります。この回路はあきらかにPLLですからその応答特性は(LPF1,LPF2,VCOゲインからなる)ダンピングファクタによって決定され、十分な時間が経過した後の再生同期パルスは、送信側の同期パルスの周期とほぼ一致し、位相がπ/4ずれている状態になると考えられます。この回路をMMVARIではATC(Automatic Timing Control)と呼びます。
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「SYNC status」は、PLLがロックしているかどうかを表し、MMVARIではスペクトラムまたはウォータフォール画面の左上に「SYNC」として表示されます。PLLがロックしていない場合は、受信パルスで強制的に周期調整した別系統の再生同期パルスをデコードパルスにします。この別系統のパルスは、若干外乱に弱いですが、PLLがロックするまでの期間のタイミングズレによる文字化けを防止することができます。
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